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女性向け同人誌の「明輝堂」倒産。池袋は乙女の聖地と言えるのか?

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女性向け同人誌を取り扱う「明輝堂」が倒産

池袋にも店舗を構えており、2018年に閉店となった「明輝堂」。
今回、新たに大阪店、名古屋店、通販部の営業停止となり、6月24日を持って倒産となってしまいました。

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池袋ではヤマダ電機LABI1総本店横に店舗がありましたが、なんとも残念です。「明輝堂」さんといえば、女性向け同人誌の小売店で、中古の買取・販売を手掛けていました。

(株)明輝堂(TSR企業コード:742008029、法人番号:1240001014841、広島市中区幟町14-5、設立1993(平成5)年7月1日、資本金1000万円、豊川有司社長)は6月24日、事業を停止し破産手続きを一藤剛志弁護士(弁護士法人TNLAW支所立川ニアレスト法律事務所、立川市曙町2-13-3、電話042-512-9871)に一任した。同日付けで本社に張り紙を掲示、同社ホームページ上にも記載した。負債は現在調査中。
 http://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20190624_02.html

女性向け同人誌に関しては、K-BOOKSさんも委託販売から撤退しており、女性向け同人誌の厳しい環境が続いています。

更に、昨年の6月に池袋に新たに誕生した「駿河屋」さんでは、最初は乙女雑貨をメインに女性向けキャラクターグッズを取り扱っていたのが、僅か半年で路線変更。現在では「池袋ゲーム館」となっています。

ikebukulog.hatenablog.jp

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そこで今こそ問いたい。

池袋は本当に「乙女の聖地」なのか?

豊島区が目指す「アニメの聖地」

これは非常にセンシティブな議題です。
世間一般的には「オタクの聖地」秋葉原に対して、「乙女の聖地」池袋があるという認識を持たれていることが多いですが、少なくとも目下この足元の現実が、池袋が「乙女の聖地」であるということを否定する結果となっています。

K-BOOKSの撤退、明輝堂の倒産、駿河屋の路線変更。
それで本当に池袋が「乙女の聖地」と言えるのか?
ただの幻想に過ぎないのではないか?

女性向け同人誌というビジネスが、「乙女の聖地」ですら成り立たないのだとすれば、考えるまでもなく日本全国何処でも成り立たないというのは明々白々です。

まさに今、そうした警告、エマージェンシーが鳴り響いている!
にも関わらず、外形的に「乙女の聖地」としての方向性が強化されているように見えるのは、豊島区が推進している池袋の方向性が「アニメの聖地」「マンガの聖地」であり、アニメイトさんやドワンゴさんが強力にそれらをプッシュする中、「乙女の聖地」を覆い隠してるからでです。

重層的に絡み合い状況が複雑化しているので、一見すると池袋は「乙女の聖地」として盛り上がっているように見えるのに、「乙女の聖地」として衰退しているという相反する状況が生まれています。

そこには薄皮一枚の違いがあって、そしてそれが女性向け同人誌の撤退といったことに大きく影響していたりするんでしょうね。

希少性を失った「同人誌」は「同人誌」なのか?

そしてもう一つ「同人誌」というジャンル自体の問題です。
これはかなり深刻だと思いますね。

これに至っては、女性向けだけではなく男性向けもそうですし、オリジナルから小説、評論・情報系など同人誌の全てジャンルが危機に瀕しているのではないでしょうか。

というのも、メロンブックスさんやK--BOOKSさんなどが同人誌を取り扱い、ネット通販も完備している中、これだけ委託販売が当たり前になると、同人誌は同人誌ではなく、一般誌となんら変わらない存在になっています。

つまり「希少性」が失われている!
何故、人は「薄い本」に500円を払ってしまうのか?

16ページや20ページ、24ページといった本としては余りにも薄くコスパの悪い「同人誌」に対して、一般コミックとほぼ同額の金額を払ってしまうのは何故なのか?

それは言うまでもなく、その本が貴重であり、自分が求めていたモノであり、そこで買わないと手に入らない、得られない価値があると信じるモノだからですよね。

一般の書店流通している本にはないジャンル、マニアックさ、表現、多様さ、そういったものが「同人誌」が「同人誌」であるべき理由だと考えれば、現在のように同人誌が一般流通と変わらなくなってしまうと、その価値を毀損しています。

だって、書店や通販で買えるんだったら、わざわざ過酷な環境の中、大変な思いをしてまでコミケなどの同人誌即売会に行く必要ないじゃないですか。

現在のように手軽に購入出来るようになればなるほど、同人誌即売会は逆に衰退していかざるを得ない。

グリッドマンの同人誌騒動でも思ったのですが、あれはむしろ好機です。
小売は取り扱わないので一般流通しません。しかしイベントで個人の範疇で出す分には制限しませんという縛りは、まさに「同人誌」のあるべき形であり、イベントでしか販売出来ないんだったら、イベントに参加するしかないじゃないですか。作りたい人も買いたい人も実際に同人誌即売会に参加するしかない。だからそこに大きな熱量が生じる。

そこに同人誌即売会に参加する強い動機と価値が生まれるということを考えると、ああいった規制は必ずしも悪いことのようにも思えないんですよね。

京都のヨドバシが外国人の転売屋には商品を売らないとして喝采を浴びてましたが、コミケにも外国人の方が沢山来るようになっています。勿論、それは悪いことではありませんが、しかしそういった層の大量流入は、大手は良いかもしれませんが、中小にとっては厳しいでしょうね。

例えば、自分が観光地に行ったときのことを想像してみてください。
そういった場所で、自分が何を買うか考えたとき、まずは名産品や特産品を買うじゃないですか。北海道旅行に行ったらお土産に「白い恋人」を買う。

初めて行くような海外の旅行先だったら、ますますまずはガイドブックに乗っているような分かり易いものを求めます。それは当たり前の行動であって、いきなり全く知らない場所でどんな危険があるかも分からないのに、路地裏に入って良く分からないお店に入ったりしないですよね。リスクが高すぎる。

話を戻すとコミケだって一緒です。
遠路はるばるやってきたのだとすれば、まずは大手に行くでしょう。
ガイドブックに乗っている「おすすめ」みたいなものです。

これは海外勢に限らず、地方から遠征に来るという場合もそういう傾向になりがちですが、より海外勢の方がその傾向が大きい。そういう層が増えれば増える程、確かに参加者は多様化し、開かれたグローバルな同人誌即売会になっていくことは間違いありません。

しかしそうするとどうなるか、大手サークルばかり人が増え、中小サークルは厳しくなる一方です。だから最近のコミケは撤収が早いんですよ。最初の混雑は凄くてもお昼過ぎると人が一気に掃けます。お目当ては大手サークルのみ、或いは企業ブースという層の比率が必然的に高まるからです。無限に会場に人が入るのなら問題ありませんが、実際にはそうじゃない。

グローバル化によって、特定の大企業にのみ資本が集中するといった現在の世界経済の構造と全く同じ構図になっていきます。同人誌即売会は自分で作ったものを自分で売るという経済の基本ですが、だからこそグローバル化するとどうなるのかという世界経済の縮図がそこに形成されてしまうという。

女性向け同人誌の相次ぐ撤退。
これを同人誌の衰退と捉えるのであれば、やるべきことは一つです。

鎖国するしかない!
鎖国してイベント以外では同人誌を売らないようにする。

確実に総体的な市場は縮小しますが、そうなったらもう同人誌即売会に行くしかないですし、同人誌即売会自体の活気は今より何倍にも跳ね上がるのではないでしょうか。

小売店で同人誌を委託販売していたら行く必要ないですからね。サークル側も委託販売があることで在庫リスクの軽減に繋がりますし、部数も出るので委託があった方が良いのは間違いありませんが、だからといってそれが当たり前になったら同人誌の希少性もまた失われるので、これも相反しているものです。

池袋も「アニメの聖地」を打ち出し、グローバル化し、広く開放的に観光地化していけばしていくほど、「乙女の聖地」が疲弊していくのは自然な流れです。

そのことが、女性向け同人誌というジャンルから示唆されている。
グローバリズムは転換期を迎えているんだよ!

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